リハビリテーション

 

令和元年度集合写真  

リハビリテーションセンター理念

 

  • 私たちは持ちうる技量を最大限に発揮して、皆様の安心・安全な生活と尊厳ある人生を積極的に支援します。

 

リハビリテーションセンターの基本方針

  【多職種協働によるチームケアの実践】

  • 皆様との協働によるリハビリテーションの目標設定
  • 個々の生活様式に見合ったリハビリテーションの提供
  • 退院後の生活を踏まえた総合支援
  • 退在宅における持続可能な生活支援

 

臨床研究

当院では下記の臨床研究を実施しております

脊椎圧迫骨折患者の歩行能力を予測する因子(PDFが開きます)  

当院のリハビリテーションの基本的な考え方

 

★人としての尊厳を取り戻す

リハビリテーション(rehabilitation)の語源は、re(再び)、habilis(人間にふさわしい)、taition(状態にする)からなり、「人としての尊厳を取り戻す」という意味です。つまり、自分らしい生き方を取り戻すことです。一般的に浸透しているリハビリテーションのイメージは「機能回復訓練」ではないでしょうか?当院では、単なる機能の改善や動作の獲得ではなく、その先にある価値を大切にしています。

★心身機能改善や動作の質へのこだわり

リハビリテーションとは「自分らしい生き方を取り戻す」ことですが、それを支える心身機能の最大限の改善は重要です。心身機能とは人間が持つ生理的・心理的・身体的な機能です。 病気やケガの治療には、一定程度の安静や不動が伴います。しかし、それが長期間続くと「廃用症候群(動かない・動かさないことによる心身機能の低下)」を引き起こします。機能回復訓練は廃用症候群との戦いといえます。 しかし、むやみやたらに動かすことは「過用症候群(やり過ぎることによる心身機能の低下)」の危険が伴います。医学的管理の中で、適切な負荷量をかけることが重要です。 負荷量だけでなく質も重要です。間違った方法や不適切な姿勢での機能回復訓練は「誤用症候群(間違った方法の繰り返しによる心身機能の低下)」を引き起こします。正しい姿勢や方法での反復練習が大切です。 当院のリハビリテーションは、「過用症候群」を防ぎながら(リスク管理)、「誤用症候群」にならないように、「廃用症候群」に打ち勝つことを基本としています。  

安全な訓練の提供

  リハビリテーション治療は運動療法(体に一定の負荷をかける運動)が主体ですので心身機能に影響を与えます。また、できないことをできるようにするため、転倒などの危険も伴います。当院のリハビリ室にはワイヤレス心電図(運動中の心電図を確認できます)や歩行練習リフトなどの機器を配備しており、心身機能にあわせた段階的なプログラムを提供するとともに、起こりうるリスクをできる限り防ぐ取り組みをしております。 写真:ワイヤレス心電図を使用した風景、歩行練習リフトを使用した風景

ケース(1)つまずきによる転倒の回避

ケース(2)重度半側空間無視症例の歩行練習

ケース(3)(介入前)転倒回避の学習

ケース(3)(介入後)転倒回避の学習

 

装具療法

  装具には患部を固定したり動きを補助したりする役割があります。特に脳卒中では積極的なリハビリテーションを行ううえで装具の使用が推奨されています。下肢装具を使用すると正しい姿勢でたくさん立ったり歩いたりできる人が多くいます。上肢装具も亜脱臼や拘縮、痛みの予防効果が期待でき、生活のしやすさにつながります。装具を使用するかしないかはリハビリテーションの効果を大きく左右する重要な判断です。当院では、装具カンファレンスを毎週1回以上実施し、リハ専門医と理学療法士、作業療法士、義肢装具士が装具作製の必要性や種類などを検討しております。

生活リハビリテーション ~「できる」ことを「している」ことに~

  当院ではリハ室での訓練以外に、病棟生活場面での訓練を行っています(8:30~と17:30~の2回)。リハ室での訓練で「できる」ようになったことを、実生活で「している」ことがとても重要です。脳卒中患者を対象にした調査では、実生活で麻痺のある手を使っている人は使っていない人に比べて、麻痺の改善が良好であったという報告もあります。当院には「生活リハビリ委員会」があり、「できる」ことを「している」ことに変える支援をしています。 写真:生活リハ風景

 

目標とプログラムについて

  リハビリテーションは目標を具体的にして行うことで効果が大きくなります。また、患者さんと医療者が目標を共有していることも重要です。 我々は専門的な方法で患者さんの心身機能や環境などを評価します。評価結果と患者さん・ご家族の思いを合わせて目標を決定します。リハビリテーションのプログラムは、目標達成に向けた具体的な内容を立案します。

機能的電気刺激を用いた運動療法

麻痺のある手や足に電気刺激を加え、動かす練習をします。 単に動かすのではなく、課題の実施に合わせて電気刺激を加えると効果的です。 脳卒中治療ガイドライン2015でも推奨された方法です。 写真:IVESを使用した上肢機能訓練、NM-F1を使用した歩行訓練

 

立つことへのこだわり

  「寝たきり」が良くないことは常識になっていますが、「座りきり(座らせきり)」も良くありません。 自分で立ち上がれない人が、ベッドと車椅子で過ごす時間だけになると、足の筋力が弱くなるだけでなく、関節の動きが小さくなります(関節拘縮といいます)。関節は動かさないとその状態で固まってしまいます。24時間の中で姿勢を変化させることは関節拘縮を予防する最も効果的な方法です。装具や機械を使用して定期的に立つ練習をすることは、関節拘縮を予防するうえでも重要です。また、視線を高くすることは精神的にも効果があると言われています。 当院では重度四肢麻痺(首から下が動かない状態)の方でも「立つ」練習を安全に実施できる環境を整えています。 写真:ティルトテーブル、起立台+装具、スタンディング車椅子、スタンディングリフト

 

復職へのこだわり

  働くことは人生において重要な行為です。病気やケガが原因で後遺症をもった場合でも、工夫すれば仕事ができるようになる人も多くいます。当院にはジョブコーチの資格を持ち、障害者就労支援に従事した経験のあるスタッフが在籍しています。関連法人が運営する支援施設と連携し、働くことを応援します。  

栄養と運動

  栄養と運動の密接な関係が明らかになってきました。同時に、入院患者さんには低栄養またはその一歩手前の状態にある方が多いことも分かってきました。リハビリテーションセンターでは管理栄養士と連携し、「今後の栄養状態を予測した訓練の実施」と「訓練効果を高めるための栄養管理」に取り組んでいます。

口から食べることへのこだわり

リハビリテーションにおいて栄養は重要ですが、口から食べることがはじめの一歩です。当院では言語聴覚士を中心に口から食べることを支援しています。そのために医師や放射線技師と協働で、嚥下造影検査(VF)を実施しています。 写真:VFの風景

 

コミュニケーションへのこだわり

  他者と交流することは重要で、1人で黙々と運動する人より、他者との交流機会を持っている人の方が、歩く力を維持できるという報告があります。当院の病室(個室除く)にはテレビがありません。当院では、入院中にカーテンを閉めてベッドの上でテレビを見ることを良しとしていません。テレビはベッドから離れてみんなと一緒に見て欲しい・・・。平日の17:30~21:00に患者さんが交流するきっかけをつくっています。ゲームをしたり、カラオケをしたり、創作活動をしたり・・・。入院中こそベッドから離れて生活してみませんか? 写真:イブニングリハ風景